こんにちは。【心を整える専門ノート】へようこそ。
いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。
この記事は、前回の続きで、左遷された夫と、私を襲った大病のお話です。そして生還した私の仕事復帰までの軌跡を綴ります。
「急に入院することになりました」会社への連絡と乾杯した夫の心境
ある日、私がお風呂掃除していたら、バスタブのお湯が出てくるところに手首がぶつかり、みるみる内出血して500円玉くらいの大きさに腫れ上がりました。あれ?あたしって白血病?と思いました。それから、会社の和式トイレで、生理中だったので血液が滴り、便器が真っ赤になりました。立ち上がるのもフラフラして、ようやくズボンを上げてデスクに戻ったら、課長が「どうかした?」と聞いてくれました。「だ、大丈夫です・・」と言う私は明らかにおかしいと思いました。その後、定期検診を受けてitpが判明しました。
(itpとは、国の指定難病:特発性血小板減少性紫斑病のことです)
「特発性血小板減少性紫斑病」年間10万人に2.3人の確率で発症する
聞き慣れない病名。ネットの情報を読み漁りました。明日からの入院は、現実として受け止めなくてはならない、重い病気になってしまった私は、入院費用の保証金5万円を用意して、入院準備をしました。帰宅した夫は、なぜかワインを買ってきて、生還を祈る乾杯をしました。彼なりに励まそうと思ってくれたのでしょうか。子供の夏休みに入るタイミングでの入院は、高校生の娘と小学5年生の息子を残すなんて、あり得ない。「絶対に生還する!」と誓いました。
私は余命10年、あなたは何年?
入院した病棟は救急センターの5階、重病の人が入院しています。死と背中合わせの人もいます。
私は大部屋で、血液内科と心臓血管外科の患者さんと一緒でした。毎朝、主治医の先生と看護婦さん、研修医が「白い巨塔」のように巡回してきます。頭をバンダナで巻いたリンパ腫の人から余命を聞かれました。「私は10年、あなたは何年?」えっ?私、ガンじゃないし、余命とか聞いてないし!不安は増幅しました。先生がベッドに横たわる私の手首を握り、絶対に治すという眼差しを向けてくれました。見舞いに来た夫は、私の足元で、静かに泣いていました。
ステロイドの大量投与と最終手段の脾臓摘出
慢性的な私の病気。毎日、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を10錠飲んで、ムーンフェイスと呼ばれる顔がパンパンに腫れる副作用があるため経過を診るのですが、血液状態は全く良くならず、血小板が増えて来ない。7月19日ごろ入院して、8月末になっても良くならない、副作用もあまり出ない私は、当時の最終手段である脾臓を摘出する他はありませんでした。「再発したら、次は抗がん剤だ」と、心無い研修医に言われました。膠原病にもなり得ると、なぜさらりと言えるのか。窓から飛び降りてやろうかと思いました。あの時の冷たい言葉は、今でも忘れられません。その衝動を抑えられたのは、携帯に保存した息子の写真があったからです。
「精神的に辛くなった夫」人生のピンチ
当時、小学5年生の長男がひとりでお見舞いに来てくれました。久しぶりに会えた我が子。携帯で写真を撮り、お守りにしました。電車とバスを乗り継いで、病院に着いた息子。後日、娘もお見舞いに来てくれました。高校の成績は、入院時からドーンと下がってしまって、私が面倒を見なければ家族はまとまらない。今、死ぬわけにはいかない。絶対に生きて家に帰る気持ちが強くなりました。夫は「精神的に辛くなっていた」と後に聞きました。晩酌の時、泣いていたのが想像できました。
手術後、集中治療室で見た夕日 私は生きている
当時のitpの治療は、ステロイドが効かない患者には、最終手段の脾臓摘出を行う。とありました。
腹腔鏡手術で脾臓を微塵に砕いて吸い出す手術です。全身麻酔下で行いました。
手術の前には、一時的に血小板を増やす、グロブリン投与を行いました。1本20万円の血液製剤で、5本を点滴で投入しました。血小板輸血も行いました。黄色い色をした液体で、これは献血によるものでした。夫は、今でも献血に通い、血小板献血をしています。私を救いたいと思ってくれる、本当は優しい人なのです。手術後の集中治療室で、夫から70%の治癒率だと言われました。
「7割も治ったなら良かったよ」と夫は安心して帰りました。
1錠2300円の新薬と仕事復帰
2か月も待ってくれた会社には感謝しかありません。私の業務と2倍頑張ってくれた同僚のおかげで、スムーズに職場復帰ができました。退院からわずか2週間で仕事復帰。それは家族を守るため、そして3700万円のローンを完済するための、私の『意地』でした。
しかし、それから13年後に再発しました。発病した2007年当時は新薬もなく、治療法も確立されていなくて脾臓を取るほか方法はありませんでした。脾臓のない私は風邪をこじらせたり、肺炎になったら危険なので、肺炎球菌の予防注射を必ず受けなければなりません。再発した2020年には、新薬が健康保険で認められていました。1錠2300円という高額な薬ですが、国の難病助成のおかげで飲み続けることができています。医学の進歩に、そして国に、生かされています。ありがたい日常を、大切に暮らしています。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。
2025年もあとわずかです。皆様もご自身の体を第一に、健やかな年末をお過ごしください。

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